ExpressWeb - Windows レンタルサーバーの体験レポート

ExpressWebは、低価格のWindowsホスティングサービスです。年額3150円で、ディスク容量30GB、マルチドメイン・サブドメイン無制限と Linux のレンタルサーバーなみのコストパフォーマンスです。機能面でも、ASP.NET 4.0 にいち早く対応し、信頼レベル(trust level)も Full Trust になっており、スクリプト言語では、PHPだけでなくRuby、Pythonにも対応し、SQL Server 2008 のデータベースが3個、データ領域が300MB提供されるお買い得な Windows レンタルサーバーです。このスペックでこの価格であれば、WordPress 等の PHP アプリケーションだけを利用するような使い方であっても十分にLinux サーバーと対抗できる状況だと思います。それに追加して、ASP.NET + SQL Server 2008 が利用できるので超お買い得だと思います。

この機能でこれだけ安いと逆に品質を維持できるのかという懸念もありますが、現在のところ Web サイトのレスポンスも良好です。マイクロソフトは、中小のWeb開発会社に WebsiteSpark プログラムで Web 開発に必要なマイクロソフトのソフトウェア、ソリューション、技術情報およびサポートなどを3年間無償で提供するような支援もしているので、マイクロソフトの支援があったと思えば理解できる値段です。( データ・ジャパン株式会社のニュースリリース

サポートチケットが内容によって有料となっています。サポートというのはコストのかかる作業なので有料制にしてコストに応じた料金を取るというのはいいことだと思います。サービスに対してあまりお金を支払わない日本でなじむのだろうかという思いはありますが定着してほしい制度です。

料金は1年間の前払い

現在オープニングキャンペーン中で最初の1年間は月額料金無料なので初期費用の3150円だけで利用でき、翌年度以降は月額料金が必要になりますが1年目と同じ年額3150円です。なお、料金は、1年間の前払いになっています。

利用の制限事項

ExpressWeb での制限をみてみると、月間の転送量の制限が30GBで、SSLの利用ができないといったところです。転送量制限については、30GBあたり年額3150円払えば制限を引き上げることができますが、このホームページの場合で転送量が30GBあれば約30万ページビューまで対応できるので、映像や大量の画像のようなものを扱うのでなければかなりのところまで追加料金なしで対応できると思います。SSLの利用ができないというのは、ExpressWeb は小規模のサイトが対象で、本格的な商用については、上位のVirtualWebやDataWebを使えということのようです。ExpressWebは、全体としてコストに見合ったリーズナブルな料金体系になっており、個人用サイトや小規模な商用サイトの立ち上げ用として利用するのが最適だと思います。

ディスク容量は30GB で SQL Serverは2008 で容量が300MB

ディスク容量は 30GB 提供されるので通常の利用で十分でしょう。SQL Server 2008 のデータベースは、3個提供され、データ領域が300MB、ログ領域が300MBあります。MySQL は、データベースが3個で容量はディスク容量に含まれるということで通常の使用では十分すぎる容量です。この価格で、これだけのデータベースが提供されるサービスは他にないと思います。SQL Server の管理ツールとしては、myLittleAdmin が提供されています。myLittleAdmin は、ブラウザーベースの定評のある管理ツールで、データベースの管理を問題なくおこなうことができます。

Web Platform Installer の利用

ExpressWeb では、Web Platform Installer を使って、下の図のように、Umbraco も WordPress もインストールすることができるようになっています。もちろん、Orchard CMS もインストールすることができます。
ExpressWeb01

Web管理ツール

管理ツールは DotNetPanel です。わかりやすくて結構使い勝手はいいと思います。以前は動作が遅かったのですが最近はストレスなく操作できるようになっています。また、SQL Server のデータベースの管理に必要な、ログファイルの切り捨て、バックアップ及びリストアが DotNetPanel で簡単に行うことができるので便利です。DotNetPanel は、コストの安いサーバー管理ツールで、現在は WebsitePanel という名前で OSS のソフトになっています。こういう点も、価格を下げられた原因だと思います。

ASP.NET のアプリケーションでよくエラーが発生するのですが

ExpressWeb では、以前は以下のようなバグがあって、初心者には使いづらかったのですが、2011年10月12日に修正が完了したようです。

ExpressWeb で ASP.NET のアプリケーションを使用する場合、2つの問題点があるので注意してください。なお、自分の場合は、この2点についての対応方法がわかってからは、ASP.NET のアプリケーションも快調に動作するようになりました。対応方法については、ExpressWeb でASP.NET アプリのインストールに注意!にメモをしましたので参考にしてください。

(1) machineKey の設定が必要

アプリケーションを使っていると突然サーバーエラーが発生する場合には、このケースが疑われます。customErrors の mode を "Off" にすると、下の図のように「Web Farm またはクラスタによってホストされている場合、<machineKey> 構成が同一の validationKey および検証アルゴリズムを指定していることを確認してください。」というアプリケーションエラーが発生する場合があります。なお、ASP.NET 2.0 の場合には、英文で、「Validation of viewstate MAC failed. If this application is hosted by a Web Farm or cluster, ensure that <machineKey> configuration specifies the same validationKey and validation algorithm. AutoGenerate cannot be used in a cluster.」というエラーが表示される場合があります。

(2) Web.config の Handler セクションが削除されることがある

統合モードの場合に、Web.config ファイルで、system.webServer セクションの handlers セクションが削除されてしまい、アプリケーションによっては、404 エラーが発生したり、javascript が正常に動作しなくなったりするという問題です。この問題については、かなり改善されていますが、まだ、時々発生するケースがあります。

原因は、Web.config ファイルで、system.webServer セクションの handlers セクションが削除されてしまうためです。このため、対応策としては、コントロールパネルの「Webサイト」を操作する場合は、事前に Web.config のバックアップを取るようにしておきましょう。