SSRS は、一言でいうとグラフを Web で公開するためのツールです。リポートビルダー 3.0( ダウンロード先)や Business Intelligence Development Studio を利用してグラフを作成し、それを SSRS で公開することができます。2008 までは、作成できるグラフがExcel で作成できるものとそれほど大差はなかったのですが、2008 R2 では、下の図のようなマッピングの機能が追加されているので、SSRS を使ってみようかと思っています。
最新のバージョンである SSRS 2008 R2 は、Windows XP SP3 以降であれば Home 等でも動作します(MSDN の SQL Server オンラインブックの SQL Server 2008 R2 のインストールに必要なハードウェアおよびソフトウェアのExpress with Advanced Services )。また、IIS を有効にしていない状態でも、SSRS をインストールすることができるようになっています(SQL Server 2008 オンラインブック 「最初のインストール (Reporting Services)」を参照)。
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Express 版のSSRS の制限で最も厳しいのは、レポートのデータソースに、リモート データソースがサポートされず、ローカルの SQL Server のデータベースのみであるということです。Express 版のデータベースのサイズが 10GB(2008 では 4GB)に制限されているること、レポートの作成は結構負荷がかかる処理なのですが、 Express 版のデータベースは、利用できるリソースがメモリ 1G に制限されているため、個人的な使用では問題はありませんが、会社で本格的に活用する場合は能力不足です。
制限の詳細については、SQL Server 2008 R2 オンライン ブックの SQL Server Express の Reporting Services でサポートされる機能を見てください。
レポートサーバーを利用する前に設定をおこなう必要があります。「Reporting Services の構成」で、「ネイティブモードの既存の構成をインストールする。」を選択して、インストールが完了した場合は、Reporting Services の構成は完了しているので、5. レポートマ ネージャによる設定に進んでください。Reporting Services の設定はブラウザーを使用してレポート・マネージャーでおこなう必要がありますが、最初にレポート・マネージャーにアクセスする時に、管理者権限が必要になるという 点に注意してください。自分も、2008 R2 CTP をインストールするときに、三日ほど試行錯誤してしまったことがあります。
Reporting Servise の構成をせずにインストールするを選択した場合は、Reporting Services 構成マネージャーを使って、構成をおこなう必要があります。手順は、以下のようになります。
4-1.「スタート」、「Microsoft SQL Server 2008 R2」、「構成ツール」から、「Reporting Services の構成マネージャー」をクリックして起動します。

4-2.Reporting Services 構成マネージャーが起動すると、レポートサーバーのインスタンスの選択画面が表示されます。通常は自動的に表示されるので、インスタンスの確認後「接続」ボタンをクリックします。

4-3.レポートサーバーに接続すると以下の画面が表示されます。レポートサービスが開始されていない場合は、「開始」ボタンをクリックして開始しておきます。

4-4.以下は、構成マネージャのメニューに順に設定をおこないます。まず、「サービスアカウント」を選択します。通常は、「ビルトインアカウント」の「NETWORK Service」が選択されているので、そのままで特に問題はありません。

4-5.次に、「Web サービス URL」を選択します。仮想ディレクトリは、既定は ReportServer で自動的に挿入されています。このままで、「適用」ボタンをクリックしてサービスを構成します。結果に、下の図のように「URL は正常に予約されました。」と表示されれば、成功です。

4-6.「データベース」を選択すると以下の画面が表示されます。「データベースの変更」ボタンをクリックします。

4-7.レポート サーバー データーベース構成ウィザードが起動されます。「新しいレポート サーバー データベースを作成する」を選択して、「次へ」ボタンをクリックします。

4-8.「サーバー名」の項目に、サーバー名が入力されているので、接続テストで接続できることを確認して、「次へ」ボタンをクリックします。

4-9. データベース名等は、デフォルトで入力されているので、確認後、「次へ」ボタンをクリックします。

4-10.認証の種類が「サービス資格情報」になっているのを確認して、「次へ」ボタンをクリックします。

4-11.情報を確認して、「次へ」ボタンをクリックします。データベースの構成が開始されます。

4-12.以下の画面が表示されると、データベースの構成が完了です。

4-13.「レポート マネージャ URL」を選択します。仮想ディレクトリは、既定で Reports になっているので、「適用」ボタンをクリックしてサービスを構成します。以下のように、結果の欄に、「URL は正常に予約されました。」と表示されれば、成功です。

4-14.以上で、Reporting Services の基本的な構成は完了です。暗号化キーをバックアップしておきます。

5. レポートマネージャによる設定
Express 版では、レポートサーバーの設定は、ブラウザーでレポートマネージャに接続しておこなう必要があります。しかし、ブラウザーで普通にレポートマネージャ(デフォルトでは http://localhost/Reports ) に接続すると下の図のように「ユーザーXX\XXXX に必要なアクセス許可がありません」というエラーになってしまいます。Windows 7/Vista では、ユーザーアカウント制御(UAC)の機能が有効になっているため、管理者としてログオンしていても通常は標準ユーザと同じ権限しかないためです。

5-1.管理者権限での接続
以上のようなエラーが発生する場合は、管理者権限でレポートマネージャー (デフォルトでは http://localhost/Reports ) に接続するようにしなければいけませんが、環境によって認証の方法が変更されるようなので、以下の方法を順に試してみてください。
(1) ブラウザーを管理者モードで立ち上げてアクセスする。具体的には、スタートメニューで、ブラウザーを選択して、右クリックすると下の図のようにメニューが表示されるので「管理者として実行」をクリックしてブラウザーを起動させます。

(2) (1) の方法でだめな場合は、ビルトインの管理者である Administrator でログインするようにします。
(参考 http://geekswithblogs.net/bjones/archive/2005/05/01/38818.aspx)
Windows 7/Vista の通常の設定では、Administrator は、無効になっているので、有効にしてやる必要があります。その手順については以下の通りです。
・タスクバーのコンピュータを右クリックすると以下のような画面が表示されるので、「管理」を選択します。

・コンピュータの管理が起動されるので、「システムツール」の「ローカルユーザーとグループ」の「ユーザー」を選択します。ユーザーの一覧が表示されるので、Administrator を選択して、右クリックして、「プロパティ」を選択します。

・Administratorのプロパティが表示されるので、「アカウントを無効にする」のチェックを外して「OK」ボタンをクリックします。

・コンピュータの管理の画面に戻りますが、Administrator を選択して、右クリックして、今回は「パスワードの設定」を選択します。すると以下のワーニングの画面が表示されますが、無視をして「続行」ボタンをクリックします。

・Administrator のパスワードを入力して「OK」ボタンをクリックします。以上で、Administrator の ID が有効になり、パスワードも設定されました。

5-2.レポートマネージャによるロールの割り当て
レポートマネージャに接続して、以下の図のような画面が表示されば正常にアクセスできています。ブラウザーを管理者モードで起動したり、Administrator でログインしたりしなくてもレポートマネージャーにアクセスできるよう、普段使っている自分のユーザーID をコンテンツマネージャとして登録するためには、右上の「サイトの設定」をクリックします。

・「セキュリティ」タブをクリックすると以下の画面が表示されるので、「新しいロールの割り当て」をクリックします。

・以下のような画面が表示されるので、「グループ名またはユーザー名」の項目に、自分のユーザー名を入力して、「システムユーザー」及び「システム管理者」の権限を割り当てます。「OK」ボタンをクリックすると以降は自分のユーザー権限でレポートマネージャーを利用できるようになります。

6. Reporting Services の活用
ここまで設定できると、レポートサーバーは問題なく動作しており、リポートビルダー 3.0 ( ダウンロード)等を利用してレポートの作成ができるようになります。活用については、Microsoft の SQL Server 2008 自習書シリーズと SQL Server 2008 R2 自習書シリーズにやさしく書かれているのでそちらをみてください。自習書を試す環境では、Express エディションは除外されていますが、「SQL Server 2008 Reporting Services 入門」、「SQL Server 2008 Reporting Services 応用」、「SQL Server 2008 Report Builder 2.0 実践」、「セルフ サービス レポーティング」については、Express エディションでも問題なく試すことができます。