今週、IPv4アドレスのIANAの在庫が5%を切ったというニュースが流れたので、IPv4 のアドレス枯渇の問題を少し調べてみました。IPv4 アドレスについては、IANA が IPv4アドレス空間の全体を256個に分割して、分割した一つを「/8ブロック」と称して(1つのブロックで約 1,677万アドレス)管理しており、各地域インターネットレジストリ (RIR)で不足になれば払い出しをしています。最近の払い出しの状況は、以下のようになっており、アジア・太平洋地域を管轄する APNIC への払い出しが 2007 年以降に急増しています。APNIC は地域内に、人口が多く経済発展が著しい、中国、インドが含まれているため、IP アドレスの使用が急増しているというのも理解できるところです。現時点での在庫残が 12 ブロックで、残が 5 になると各 RIR に一つずつ払い出しをするということなので、実質の残は 7 で、2011 年の第2四半期には、IANA の在庫が枯渇してしまいます。また、APNIC での枯渇は、2012年第1四半期の見込みです。

2005 2006 2007 2008 2009 2010
払出数 11 10 13 9 8 19
内APNIC 3 3 7 6 4 8
在庫残数 67 57 43 34 26 7

IANA IPv4 Address Space Registry による(2010年は10/17現在 12/4現在に修正)

今後の対応策としては、割り当て済みの IP アドレスの回収等の延命策には限界があり、根本的な解決策としては IPv6 への移行ということになります。特に日本が加入している APNIC では、もともとの割当数が少ないうえに利用が急増していることから最初に IPv4 が不足するリージョンの一つとなると考えられます。

IPv6 への対応はどうなっているかというと、OS は対応済で、一番遅れているのが家庭用のブロードバンドルータだということです。IPv6 家庭用ルータガイドラインの2版でも、まだ未検討項目がたくさんあります。東西NTTのNGNサービスのIPv6 対応が2011年4月から開始されるので、その頃には各 ISP 事業者の具体的な接続方式も決まり IPv6 に対応したブロードバンドルータも出そろうのではないかと思います。

10 年ぐらい前に政府が音頭を取って IPv6 が騒がれた時期がありましたが、結局のところは、IPv4 が枯渇したから移行せざるをえないというのが実態だと思います。IPv4 か IPv6 かは、一般のユーザーにとっては、内部的な問題なのでどちらでもいい問題で、円滑に移行さえできればいいと思います。ただ、自分のように自宅サーバーを立てている場合には、どのように移行していくのか注目をしている必要があります。また、IPv6 によって飛躍的に増大するアドレスの活用を考えていきたいと思っています。

参考ページ

NRO(Number Resource Organization)

IANA(Internet Assigned Numbers Authority)

日本ネットワークインフォメーションセンター

IPv4アドレス枯渇対応タスクフォース

最後に、株式会社インテックシステム研究所が、ブログパーツ「IPv4枯渇時計」を作成しているので参考に貼っておきます。

(2010/12/4 追加) IANA の在庫は、実質2になっており早ければ年内にも枯渇する可能性があります。IPv4枯渇時計でも X-day が3月3日とどんどん近くなってきています。