CNNMoney の BEST JOBS IN AMERICA を見ていると、ソフトウェア・ディベロッパーが 9位に入っていることに気がついた。日本では、プログラマーやSEといえば、給料は安く、残業や休日出勤が当たり前の体力勝負の3K職場なので IT土方といわれているが、アメリカでは人気職種なのである。
最近の現代ビジネスの2020年「なくなる仕事」という記事では、プログラマーは「なくなる仕事」の3番目にあげられていて、次のように書かれている。
欧米では海外へのアウトソーシングが進んでいる。「システム開発の仕組みさえ構築されていれば、個々のプログラマーが日本にいる必要もなくなってくる」、「プログラミングそのものが機械化される」可能性も
こんなことを書く人たちが、生き残る会社はトヨタ自動車だといっている。トヨタ自動車が生き残るのであれば、実はプログラマーだって生き残れる。車はどんどん「プログラムの塊」になってきているからだ。自動車1台に搭載する電子制御ユニットの数が、100個以上にのぼる車両もあるそうだ。
欧米では海外へのアウトソーシングが進んでいるというが、アメリカで IT技術者がどうなっているかを、アメリカ労働局が作成している O*NET OnLine で調べてみた。要約すると以下のようになっている (http://www.onetonline.org/find/family?f=15&g=Go)。
- 15-1121.00 - Computer Systems Analysts (544,000人、$79,680、20% to 28%)
- 15-1122.00 - Information Security Analysts (302,000人、$86,170、20% to 28%)
- 15-1131.00 - Computer Programmers (363,000人、$74,280、10% to 19%)
- 15-1132.00 - Software Developers, Applications (521,000人、$90,060、20% to 28%)
- 15-1133.00 - Software Developers, Systems Software (392,000人、$99,000、29% or higher)
- 15-1134.00 - Web Developers (302,000人、$62,500、20% to 28%)
- 15-1141.00 - Database Administrators (111,000人、$77,080、29% or higher)
- 15-1142.00 - Network and Computer Systems Administrators (347,000人、$72,560、20% to 28%)
- 15-1143.00 - Computer Network Architects (302,000人、$91,000、20% to 28%)
- 15-1151.00 - Computer User Support Specialists (607,000、$46,420、10% to 19%)
- 15-1199.00 - Computer Occupations, All Othe (210,000人、$81,140、3% to 9%)
括弧内の数字は、従業者数、年収、2010年から2020年への伸び率である。
このデータをみればわかるようにアメリカでは、コンピュータ・プログラマーでさえも、2010年から2020年に全職種の平均的な伸び率である10%から19%の伸びが期待されている。決してなくなる仕事ではないのである。
ソフトウェア・ディベロッパーは、プログラミングを中心に設計等ソフトウェア開発全般を行う職種であるが、年収は9万ドルを超えていて、人気職種であることがよくわかる。こちらの方は、今後就業者が高率で増加する職種となっている。
結局、アウトソーシングが進んでも、すべてをアウトソーシングできるわけではないのである。ましてプログラミングというのは技術の中核的な存在になってきているからプログラマーという職種は消えることはありえない。
それでは現代ビジネスの記事が全くの嘘かというと、日本がこれまで大量に育ててきたプログラマーの一部(一部といっても結構大量かも)が不要になってきているというのは事実である。そういう一部のプラグラマーのことで、すべてのプログラマーが不要だと読めるような記事にするのはどうかなと思う。