統計LODの「統計に用いる標準地域コード」を使っていて面白いバグを見つけたのでメモしておきます。
沖縄県では、北部が本土に近いので国頭(くにがみ)郡で、南部はシマの尻となるので島尻郡です。それにもかかわらず、沖縄県の最も北に位置し東シナ海上に浮かぶ伊平屋村及び伊是名村は国頭郡ではなくて島尻郡に属しています。
伊平屋島は、琉球王朝の第一尚氏縁の地であり、伊是名島は、第二尚氏縁の地です。そのため琉球王朝の時代には直轄地だったという歴史があり、その後の経過を経て島尻郡に属するようになったようです。
具体的な統計 LOD のバグの内容ですが 検索用画面で以下の Query を実行してみてください。
PREFIX rdf:<http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#>
PREFIX rdfs:<http://www.w3.org/2000/01/rdf-schema#>
PREFIX org:<http://www.w3.org/ns/org#>
PREFIX dcterms:<http://purl.org/dc/terms/>
PREFIX sacs:<http://data.e-stat.go.jp/lod/terms/sacs#>
PREFIX sac:<http://data.e-stat.go.jp/lod/sac/>
PREFIX sace:<http://data.e-stat.go.jp/lod/sace/>
PREFIX sacr:<http://data.e-stat.go.jp/lod/sacr/>
SELECT ?p ?o WHERE {
sace:C394 ?p ?o .
}
Output を Text にすると次のように検索結果が返されます。
-------------------------------------------------------------------------------------------------
| p | o |
=============================================================================
| rdf:type | sacs:CodeChangeEvent |
| org:resultingOrganization | sac:C47361-20020401 |
| org:resultingOrganization | sac:C47352-20020401 |
| org:resultingOrganization | sac:C47351-20020401 |
| dcterms:description | "Nakazato-son(47351) and Gushikawa-son(47352) are merged, and Kumejima-cho(47361) in Shimajiri-gun is newly established."@en |
| dcterms:description | "仲里村(47351)、具志川村(47352)が合併し、久米島町(47361)を新設"@ja|
| org:originalOrganization | sac:C47352-20001222 |
| org:originalOrganization | sac:C47361-19720607 |
| org:originalOrganization | sac:C47351-20001222 |
| dcterms:identifier | "394" |
| sacs:reasonForChange | sacr:establishmentOfNewMunicipalityByMmerging |
| dcterms:date | "2002-04-01"^^<http://www.w3.org/2001/XMLSchema#date> |
-------------------------------------------------------------------------------------------------
org:originalOrganization(変更前の期間つき標準地域コードのリソース)に、sac:C47361-19720607 があります。確かに 47361 は現在の久米島町の市町村コードではありますが、1972年には久米島町はなかったはずです。実は C47361-19720607 は、宮古郡城辺町(現宮古市)の昔の市町村コードです。47361 という市町村コードは使い回しされていたのです。
市町村コードは廃止されたコードは欠番とされ、新たなコードとして別の自治体に交付しないという原則に例外があったのです。恐らくそのことを知らないエンジニアが間違ったプログラムを書いたのですが、影響はあまりないのでそのままになっていると思います。
なぜこういうことが発生したのか、まず、1965年(昭和40年)の沖縄県の国勢調査の結果をみてみると、以下の図のように琉球政府の時代には郡は使わずに北部地区という名称を使っていたようです。
1970年(昭和45年)の沖縄県の国勢調査の結果をみると、復帰前ですが本土と同じように市町村コードが振られて郡が復活しています。その際に北部地区をそのまま国頭郡にしてしまったようです。
本土復帰後になって、伊平屋村及び伊是名村が島尻郡に属していることがわかり修正しようとしたのですが、運悪く島尻郡に属する町村が多すぎて伊是名村が47360というコードになり宮古郡のコードと衝突してしまったのです。それで宮古郡のコードを47370に変更し、宮古郡に属する町村のコードも変更せざるを得なくなったようです。そして、合併で久米島町ができたときに 47361 になり城辺町の昔のコードを使い回してしまったということのようです。
統計LODから取得した標準地域コードを利用して、統計メモ帳のページを追加中なので、完成したらそのページの方も紹介したいと思います。