Microsoft WebMatrix は、IIS Developer Express、ASP.NET(ビューエンジン”Razor”)、SQL Server Compact 4.0 を含んだ統合的なウェブ開発ツールで、7月6日にベーター版が公開されたので少し遊んでみました。

インストールについて

インストールは、Web Platform Installer 3.0 Beta を利用します。WebMatrix はワンクリックでインストールすることができます。Windows XP 以降のすべての機種に対応しており、XP Home Edition や Windows 7 Starter にもインストールすることができます。

IIS Developer Express について

Visual Studio に付属する ASP.NET 開発サーバの手軽さと、IIS 7.x のパワーと機能が備わった開発用の Web サーバーだそうです。今後、Visual Studio に付属する ASP.NET 開発サーバーに代わって開発用サーバーとして利用されると思われます。IIS Developer Express も、Windows XP 以降のすべての機種に対応しており、機能制限が厳しい上に今となっては機能的にも劣る IIS 5.1がインストールされている XP Professional や IIS がそもそも添付されていない XP Home や Vista Home Basic では、開発者にはかなりのメリットがあると思います。自宅サーバーとして使用できるかどうかですが、IIS Developer Express FAQ によると、 設定をすれば外部接続は可能なようですが、設定方法はよくわかりません。Microsoft が、インターネットでWeb サーバーとして利用できるとはっきりということはないと思うので、正式版が公表された時にテストしてみたいと思っています。

Razor について

ASP.NET MVC で利用するビューエンジンで、現在のようにコードを<% %>で囲む代わりに先頭に@をつけるだけでよく便利になりそうです。詳しくは、ScottGu’s Blog の Introducing “Razor” (日本語の翻訳)をみてください。

SQL Server Compact 4.0 について

SQL Server Compact 4.0 (SQL CE 4.0)は、データベースサーバーのインストールが不要なファイルベースのデータベースエンジンで、ファイルコピーで簡単に使えるデータベースです。管理者権限がなくても利用することができます。SQL CE の 3.5 までは、サーバーのインストールが必要であり、そのインストールには管理者権限が必要であったことなど使い勝手がよくなかったので、あまり利用されていませんでした。今回のバージョンでは、これらの問題点が改善され、レンタルサーバーでも簡単に利用できるようになっています。

mojoPortal では、早速 SQL CE 4.0 に対応しています。 SQL CE 4.0 を、ファイルベースのデータベースとして最もよく使われている SQLite を比較すると、SQL CE 4.0 には、Midium Trust で動作することと、上位の SQL Server への移行が容易であるというメリットがあります。一方で、SQLite は、Linux でも動作するという優位性があります。

WebMatrix について

WebMatrix は、IIS Developer Express、ASP.NET "Razor"、SQL CE に Web Gallary 等のの機能を追加し、ウェブサイトを構築・管理するための軽量ツールです。下の図のようにソースコードの編集機能もありますが、インテリセンスの機能はまだついていません。

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Template からのサイトの作成をしてみると Razor で記述されている .cshtml ファイルが作成されます。作成したサイトをどこで公開できるのかということで、とりあえずは SP.NET 4.0 に対応したサーバーであればいいということのようなので、ExpressWeb で公開してみました。一応公開はできた(WebMatrix で作成したサイト)のですが、WebMatrix 上ではURL に .cshtml の拡張子をつけなくても動作するのですが、ExpressWeb では動作しないので、リンクに .cshtml の拡張子をつけました。ExpressWeb は、まだ WebMatrix 対応になっていないのかもしれません。

WebMatrix に含まれる IIS Developer Express、ASP.NET "Razor"、SQL CE 4.0 については、方向性もよくわかり、将来的にも利用される技術だということがよく理解できたのですが、WebMatrix の方は、今後どのように利用されていくのかが明確でないように思います。過去の WebMatrix と同じようにすぐに消滅しないためには、新たなユーザーを引きつける魅力がもう少し必要だと思います。