5月1日のNHKのクローズアップ現代「極点社会~新たな人口減少クライシス~」で、高齢者が減少し“消滅”の危機にある代表として徳島県の三好市が取り上げられていた。そこで、三好市の1980年から2040年までの年齢階級別の人口の推移のグラフを作成してみた。

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データについては、2010年までは国勢調査で、それ以降は国立社会保障・人口問題研究所の『日本の地域別将来推計人口(平成25年3月推計)』を使用しています。

このグラフを見ると三好市では、1980年には、池田町、三野町、山城町、井川町、東祖谷山村、西祖谷山村の6町村で47,057人の人口だっだのが、2010年には29,951人にまで減少し、2040年には13,745人にまで減少することが推計されています。非常に厳しい状況にあることが理解できると思います。もう少し詳しく数字をみると、もう一段と厳しい状態があることがわかります。以下が、0~34歳までの5歳階級別の人口の表です。

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1980年に0~4歳だった人は2,643人ですが、30年後の2010年に30~34歳の人は1,184人です。正確ではないですが簡単にいえば、三好市で1976~1980年に生まれた人では、45%の人が地元に残り、それ以外の他の市町村に転出してしまっているということになります。1986~1990年に生まれた人だと地元に残る若者はわずかに36%です。1991~1995年に生まれた人は46%が地元に残ると推計されそれ以降も割合が増えていますが、それは純移動率の計算方法に原因があります。国立社会保障・人口問題研究所の地域別将来推計人口の「純移動率」の推計については以下のようになっています。

市区町村別・男女年齢別の純移動率は、一時的な要因によって大きく変化することがあるため、一定の規則性をみいだすことが難しい。そこで最終的に「日本の将来推計人口(平成 24 年 1 月推計)」(出生中位・死亡中位仮定)による推計値と一致させることを考慮し、全域的な傾向を一律に反映させることとした。「住民基本台帳人口移動報告」(総務省統計局)から平成 12(2000)年以降の動きをみると、転入超過数の地域差は平成 19(2007)年をピークとして縮小傾向にある。したがって、原則として、平成 17(2005)~22(2010)年に観察された市区町村別・男女年齢別純移動率を平成 27(2015)~32(2020)年にかけて定率で縮小させ、平成 27(2015)~32(2020)年以降の期間については縮小させた値を一定とする仮定を置いた。

確かに2008年のリーマンショックの影響によって東京圏への人口流入は減少し、地方でも人口の流出は抑えられています。しかし、2015年~2020年にかけてもこの傾向が続くかどうかは不明です。クローズアップ現代の「極点社会~新たな人口減少クライシス~」では、「地方の介護産業が高齢者を求め東京に進出し」、そこで働く若年女性も、「地方から東京へ移動し始めています」という問題を取り上げています。もし、今後地方からの若者の人口流出が増加するようなことになれば、地方の人口の減少は更に加速し、「極点社会」になってしまうのも近いと思います。

三好市は典型的な例ですが、県庁所在地の徳島市でも2010年の264,548人が2040年には206,368人と22%減少する推計になっています。東京圏への人口集中が進めばそれ以上に減少する可能性もあります。地方では県庁所在地でさえ大きく人口が減る時代になっています。地方は危機感を持って若者がどうしたら地域でいい生活を送れるのかを真剣に考えていかないといけないと思います。