短時間で大量のアクセスがあったこともあって、クラウドはどれを選択したらいいのかを調べていたら、Gihyou.jp の記事「クラウド,良いとこ・悪いとこ(第6回)」では、「AWSとAzureではunixbenchでは5倍,さくらとでは10倍の価格性能比があります」という結論になっていたので、本当にそうなのか調べてみました。
テストしたタイプは以下のとおりで、性能がよく似ていると思われるものを選択しました。OS については、すべて Windows Server 2012-R2 です。
- さくらのクラウド:2コア, メモリ4GB, SSDプラン 100GB、石狩
- Amazon EC2: c3.large (2vCPU, 3.75GBメモリ), GP (SSD) 100GB、東京リージョン
- Azure 仮想マシン: 標準 A2 (2コア, 3.5GBメモリ) 、東日本リージョン
コスト(月あたり・円) データ転送量は80GBで計算
CPU
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ディスク
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データ転送
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計
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ディスク単価(GBあたり)
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さくらのクラウド |
5,500
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3,500
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0
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9,000
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20円、SSD 35円 |
Amazon EC2 |
12,110
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1,260
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1,688
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15,058
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8.4円、SSD 12.6円 |
Azure 仮想マシン |
16,089
|
0
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1,454
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17,543
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5.1円、SSD 未対応 |
※Amazon EC2 の CPU の価格は、1年間の重度使用リザーブドインスタンスを使うとして計算しています。普通のインスタンスを利用するとCPUだけで17,470円となり、Azure より高額になります。また、ドル建てなので1$=105円で計算しています。
CrystalMark でのテストの結果
CrystalMark でテストをした結果は以下のとおりです。GDI以下は画面性能で関係がないので無視してください。
さくらのクラウド
Amazon EC2
Azure 仮想マシン
結論として「さくらのクラウド」がCPUについての価格性能比では一番いいというのは間違いないようです。でも、Gihyou.jp の記事のように価格性能比が10倍というのではなく2~3倍程度だと思います。Gihyou.jp の記事が必ずしも間違いというわけでなく、AWS が最近 EC2 を m1, c1 の旧世代から m3, c3 の新世代に交代させたこと、ディスクに SSD を使えるようになったこと、価格も大幅に引き下げたことなどが大きく影響していると思います。クラウドも厳しい競争の世界だと本当に思います。
さくらのクラウドはCPUの価格性能比がいいこと、AWS は API が成熟していることや関連サービスが充実していること、Azure はディスクやデータ転送の価格が比較的安く、標準タイプだとロードバランサー等の機能が追加費用なしで使えること、月額使用料が5万1千円を超えると長期契約で割引が受けられることなどで企業にとってはコストパフォーマンスがいいし、東京と大阪でバックアップができるという特徴があります。結局、変化の速い世界なので特徴も時間によって変化するし、用途によっても適当なサービスが違ってくるので、時々見直しをしながら使っていけばいいと思います。
最後に、Azure 仮想マシンでは標準ではなく基本タイプがあるのでそちらが価格性能比がいいのではないかという意見があると思うのですが、A2 の基本タイプでテストすると、下の図のように標準の7割ぐらいの性能しか出なかったのです。自分にはそうなる原因がよく分からないので、標準にしておきました。