ジブリがアニメ制作から撤退するというニュースが報道され大きな反響を呼んでいる。詳しい話はよくわからないが、現行の制作部門を解体して常駐スタッフを解雇し、フリーを使う体制に切り替えるようだ。
シネマトゥデイに掲載されている「ジブリは「作り方を変えます」解散報道を否定!宮崎駿監督も短編製作に意欲!」という記事が気になった。鈴木プロデューサーによると
もう始まっているんですよ。タイ、マレーシア、台湾、一部ベトナムでスタートしているんです。おそらくアジア全体で、例えば日本人が企画を考えて実際作るのはタイとかね。おそらくそうなってくる。実際に描きたい人はタイに行けばいい。製作費ではなく意欲の問題。日本でも意欲をもってやってきたけどそれがひと段落した。
アニメ業界も日本では制作ができなくなってしまっているようだ。アニメーターの待遇を調べてみると、日本アニメータ・演出協会がアニメーション制作者実態調査を行っていることがわかった。現在調査中なので、データとして公表されているのは、2008年度に実施した実態調査である。
それによると、月の作業時間が概算で273時間、それに対して年収は以下のようになっているそうだ。
- 20代 110.4万円
- 30代 213.9万円
- 40代 401.2万円
- 50代 413.7万円
- 60代 491.5万円
30代になっても平均時給が653円だから、最低賃金以下の報酬しかもらえていない。確かにこれでは生活できないので意欲はなくなると思う。鈴木プロデューサーによると製作費の問題ではないというが、現実はスタッフの人件費がまかなえなくなったということではないかと思う。
アニメの世界は、表面は華やかで稼いでいるアニメーターもいるのは事実だろう。しかし、大多数のアニメーターが極めて低賃金で働いているのも事実であり、30代になって平均時給653円というのではなく、若い世代を育てていくという姿勢は重要だろう。それへのジブリの回答が「実際に描きたい人はタイに行けばいい。」というのは、あまりにも寂しいと思う。