Google トレンドで Web アプリケーション フレームワークの人気度を調べていたら、日本だけが世界と違う動きをしていることに気がついた。そのグラフが下の図で、赤が Ruby On Rails、黄色が CakePHP、青が ASP.NET MVC、緑が Grails。グラフを見ると、日本では、2006年~2009年にかけて CakePHP の人気度が急激に伸びていて、飛びついたという感じになっている。2010年以降は、すべての国だと、CakePHP も Ruby on Rails も人気度が横ばいとなっているし、アメリカも横ばいで推移しているし、イギリスやドイツ等も見てみたが横ばいだった。しかし、日本では人気度が下がり続けていて、Web アプリケーション フレームワークなんて終わったといっているような感じのグラフになっている。
現在、企業が収益を上げるためにはIT投資は重要だし、IT投資の中でWeb アプリケーション フレームワークの役割は大きいと思う。現に他の国ではWeb アプリケーション フレームワークへの関心度が減少していないことを考えると、日本のIT企業は何をしているのかと思ってしまう。日本のIT企業は受託が多いいため、委託元が近年の不況によって投資の削減をしているからどうしてもその影響を大きく受けてしまうのかもしれない。
Amazon.co.jp で本のベストセラーで調べてみると、Web アプリケーション フレームワーク関係の本では、「コンピュータ・IT」の「プログラミング」の「その他」で「CakePHP2 実践入門」が92位で一番上位で、日本では CakePHP が一番人気だということと合致している。次が、「Ruby on Rails 3 ポケットリファレンス」で238位となっていて、日本ではWeb アプリケーション フレームワークの本はあまり売れていない。なお、Amazon のベストセラーの順位はすぐに大きく変わるからあくまで概数値だと思ってほしい。
一方、Amazon.com で見てみると、コンピュータ・IT」の「プログラミング」全体で、「Pro ASP.NET MVC 4」が9位、「Ruby on Rails Tutorial: Learn Web Development with Rails (2nd Edition)」が70位と日本と比較にならないぐらい売れている。
この結果をみていると、世界のエンジニアが Web アプリケーション フレームワークに関心を持ってきちんと学んでいるのに対して、日本のITエンジニアは無関心になってきて大丈夫なのといいたくなってくる。
それから、ASP.NET MVC の将来に関して言えば、Amazon.comで本が売れているのは結構大きいと思う。日本ではASP.NET MVC はあまり使われていないようだけど、世界的には結構普及するように思う。
最後に、Java の Web アプリケーション フレームワークについて少し補足しておくと、かっては Struts が大成功をおさめて2000年前半には事実上のスタンダードになっていた。それで、現在でもまだ多くのシステムで利用されていて、Google トレンドの人気度でもまだ一番だ。しかし、急激に人気度が落ち込んでいるのでグラフが見づらくなること、すでにセキュリティパッチやバグ修正は提供されない状態になっていることを考えて除外した。後継としては Struts 2, Spring Web MVC, Grails, Stripes 等があり、かなり混沌としているようなので、 比較的人気度の高い Grails を選択した。これらを併せると現在でも Java 系のフレームワークが圧倒的に多く使われているということは事実だ。でも、かってのような圧倒的な強さはなくなっている。
(追加 2013年5月25日)
PHP のWeb アプリケーション フレームワークに関しては、最近はCakePHP よりも CodeIgniter や Laravel の方が人気があるようだ。Google トレンドのすべての国と日本での人気度のグラフを下に載せておきますが、日本ではやっぱりWeb アプリケーション フレームワークの人気ないよね。
すべての国
日本
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