Webアプリを創る

Umbraco 5 の開発中止について

2012年6月15日

6月13日に「Umbraco 5 の開発を中止する」という決定が Umbraco の Web ページに掲載(v5 RIP)されました。簡単に要約すると、Umbraco 5  の開発を中止して、今後は、Umbraco 4 をベースとして開発をおこなうということです。

個人的にいうと、U5 の開発が中止されたことは非常に残念です。しかし、U5が重くてU4を超えるには労力も時間も必要だということになれば、U4をベースとして開発をやり直すというのは賢明な判断です。U4 は優秀なCMSで、競争力も十分あります。Umbraco 日本語 Wiki も、対象を U4 に変更して継続していきたいと思っています。協力をお願いします。

Umbraco 5.2 Beta を使ってみた

2012年6月10日

Umbraco 5.2 Beta が6月7日に公開されたので、特に問題となっているパフォーマンスを中心に Web Page Performance Test を使ってテストしてみました。

結論からいうと、Umbraco 4 は優秀な CMS であり、Umbraco 5 が Umbraco 4 に追いつくにはもう少し時間がかかりそうだということです。Umbraco 5.1 と比較すると  Umbraco 5.2 はファーストビューの時間が改善されてはいますが依然として約10秒かかり、そのうえアプリケーションプールのメモリが300MB以上も必要です。一方、Umbraco 4 は、ファーストビューが2秒で、メモリーも30MB程度です。アプリケーションプールのメモリの使用量が多いとリサイクルされることが多くなるので、特に共用サーバーを使用している場合には体感速度には相当な差が出ることになります。

こういう結果から判断すると、現時点で Umbraco 5 の利用を勧めることができるのは、ASP.NET MVC の開発者がメモリーに余裕のある Web サーバーを利用する場合です。それ以外の場合は Umbraco 4 を利用した方がいいと思います。Umbraco 5 は、カスタマイズの容易さということでは優れたものがあります。今後の改善に期待したいと思います。

Umbraco 5.2
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Umbraco 5.0
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Umbraco 4.7
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mojoPortal
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Windows 8 RP の最大ユーザー数と IIS 8

2012年6月2日

Windows 8 RP が公開されたので、インストールしてネットワーク機能を調べてみました。

Windows 7 では、同時利用可能なセッション数(同時接続可能なユーザー数)が最大20セッション(ユーザー)に緩和されました。Windows 8 でどうなっているか?ということで、まず使用許諾契約書があるかどうかDVDの中を探してみたのですが見つかりませんでした。コマンドプロンプトで net config server コマンドをたたいて調べたところ、Windows 7 と同じく「最大ユーザー数 20」となっていました。家庭やスモールオフィスでネットワーク接続される機器が増加している現状からすれば、Windows 7 での緩和は、Windows 8 でも継続されるものと考えられます。

次に、IIS をインストールしてみました。Windows 8 RP 付属の IIS のバージョンは、Windows 7 の IIS 7.5 から IIS 8.0 になってバージョンがあがっていました。image機能面を見てみると、デスクトップ版付属のIIS 8 の機能制限については、資料を探してみたのですが、まだ見つかっていません。正確な所はわかりませんが、触っている限りでは、IIS 7.5 と特に変更はないように感じています。

次に、機能面をみてみると、左の図のように、「Windows の機能の有効化または無効化」の画面では、ASP.NET 3.5 と 4.5 の双方に対応しているのがわかります。それ以外に、3つの機能が増加しています。アプリケーション開発機能の「Application Initialization」と「WebSocket プロトコル」、セキュリティの「SSL 証明書の集中サポート」です。

Application Initialization の機能というのは、長時間アクセスのない Web アプリケーションにアクセスすると表示がなかなかされずにいらいらしたとう経験があると思います。Web アプリケーションの起動にはかなりの時間がかかるので、その初期化中については別の画面を表示させて初期化中であるということをユーザーに伝えることによりユーザー エクスペリエンスを改善しようとするものです。

WebSocket は、もともとはHTML5仕様の一部として策定が進められていたもので、サーバーとブラウザーの間で双方向通信を実現するための技術です。現在は、HTML5とは独立した仕様に切り離され規格の制定作業が進められており、プロトコル仕様は「RFC 6455」のproposed standard となっています。現在広く使われている類似の技術である Ajax と比較すると、WebSocket は、最初から双方向通信を前提として設計されているため、シンプルで効率よく双方向通信を行うことが可能なため、今後の Web アプリケーション開発において欠かせない機能になると思われます。WebSocket は、時間ができたら是非使って見たいと思っています。

Umbraco 日本語 Wiki を公開しました

2012年2月12日

Umbraco 5 が1月末に公開されました。これを機会に Umbraco の日本語情報を増やしたいと思って Umbraco 日本語 Wiki を始めました。Umbraco についての日本語の情報を蓄積・整理して、日本のユーザで共有したいと思っていますので協力をお願いします。

個人的には、Umbraco 5 を使って Web サイトを作成しながら、そのメモを Wiki の方に書いていこうと思っています。Umbraco 5 は、拡張性が非常に高いので、いろんな面で活用できると思っています。

「クラウド破産」と IE6

2012年2月2日

Internet Watch の 「KDDIウェブコミュニケーションズのクラウド戦略」という記事をみて気づいた点があったのでメモしました。インタビュアーの「Amazon EC2などのような従量課金サービスは」という質問に、「最初はやる方向で検討していたのですが、「クラウド破産」という言葉もあるように、使いすぎることを心配するネガティブな反応が顧客企業側で強く、やる必要があるのか疑問に思っています。」 という回答です。実際に計算してみればクラウドで破産なんかするわけないことぐらい直ぐにわかるのに、心配してネガティブになる日本の企業はどうなっているんだと思ってしまいました。Amazon EC2 の課金で管理者がコントロールしずらいのは、ユーザーからのアクセスに応じて課金される部分で、具体的に言うと、データ転送量、EBS(簡単にいえば外付け仮想ディスク)へのI/O リクエスト、ロードバランサーのテータ処理量、CloudFront(グローバルなコンテンツ配信サービス)の転送量等です。しかし、いずれも単価は安く、データ転送量で言えば、1GB で 0.201$ だから、1TB で 1万6千円ぐらいです。自分が運用しているサイトだと、1ページビューで転送量の平均が100KB程度なので、1TB の転送量があれば、約1千万ページビューのサービスが提供できます。1千万ページビューがあれば、1万6千円の経費に何の問題もないと思うのですが…。

そこで KDDI Web Communication の CloudCore VPS でデータ転送量の取り扱いがどうなっているか調べてみました。よくある質問に「転送量に制限はありますか?」というのがあり、それへの回答は「データ転送量による課金はありませんが、ネットワークやサーバーに対して過大な負荷がかかるご利用の場合にはご相談させていただく場合がございます。また、緊急を要する場合、データ転送の帯域を制限させていただく場合がございます。制限をかけた場合は、サーバーのご契約者様へ連絡させていただきますのでご了承ください。」となっています。転送量が多くなると追い出されるということのようですが、どの程度の転送量まで許されるのか過大な負荷が明確になっていないというのは問題だと思います。結局のところ、AWS だと管理ができなければ過大な請求がくる場合がないとはいえないけど、CloudCore VPS だと金を請求せずにサーバーを止めてくれるということのようです。自分の感覚ならサーバーを勝手に止められるのは困るから金を払うと言うと思います。

これに関連して思い浮かべたのが、IE6の問題です。このサイトでも IE6 のシェアが 7% あります。IE6からのアクセスは、土曜、日曜、祝日にアクセスが極端に少なくなるという特徴があることから、IE6を依然として使っているのは個人ではなく、企業にあると考えられます。ログをみると有名な企業からのアクセスもあります。そういう企業では、社内システムが IE6  にしか対応していないので、それ以外のブラウザーのインストールを禁止していると思われます。しかし、少し考えれば IE6 にしか対応しないレガシーにシステムがあっても、そのシステムにアクセスする場合だけ IE6 を使って、他のシステムやインターネットでは Chrome や Firefox を使えばいいと思うけど、それさえ禁止しているのでしょうか。The Internet Explorer 6 Countdown のページによると、日本のIE6 のシェアは5.9%で、中国、韓国に次いで世界で3番目です。一方、ヨーロッパや北米では1%程度まで減少しています。

これらの点からみると、日本では「クラウド破産」というようなイメージだけで判断し、長期的な視野に立った投資ができていないという企業が多いという問題点が浮かんできます。