Webアプリを創る

WordPress ばかり使っていないで Wix, Weebly, Tumblr も使ってみよう

2015年10月27日

日本のWebサイト制作では、WordPressが一人勝ちになっています。WordPressは優秀なソフトですが、猫も杓子もWordPressというのは行き過ぎではないかと思います。

ささっとWebサイトを作りたい場合には、Webサービスの方を使ってみた方がいいと思います。代表的なウェブサイトビルダーといえば、以下のようなものがあります。

Wix

デザイン性の高いテンプレートが揃っています。 Google検索で site:wix.com とするとかなりの数の Wix で作成したサイトが見つかります。例としては、久米島ホタルの会のWebサイトがあります。素人でも少し美的センスがあれば、結構見た目のいいWebサイトを作ることができます。PowerPoint を使える人であれば、間違いなくそれなりのサイトは作れると思います。

Weebly

Wix と比べると地味な感じのテンプレートが多くなっています。Wixと違ってHTMLとCSSでフルカスタマイズすることが可能なので、テンプレートに Bootstrapを使うことも可能です。地味な会社サイトを作りたい場合にはWixより適していると思います。Weeblyで作成したWebサイトの例としては、あま り有名なものはありませんが、site:weebly.com で Google検索をすると結構な数のWebサイトが表示されます。例えば、柏まちづくり文化賞というサイトがあります。これぐらいのWebサイトであれば素人でも少し HTML, CSS を勉強すれば作れるのではないかと思います。

Tumblr

映像や画像を多用するサイトとの相性がいいサービスで、今回の漫画「Tumblrでポートフォリオを作ろう(基本編)(1)」で紹介しています。漫画の中で紹介しているGAPのページはTumblrの特徴を上手に使っています。GAPのことをいえば、Pintrestの方にもGAPのページがありこちらの方でもPintrestの機能をうまく使っています。Webデザイナーであれば、WordPressを勉強するのではなくGAPのようなサイトを作るのも一つの方向だと思います。

WordPressは本当に安いの

Wixの有料プランの料金は、下の図のようになっていて、「無制限」の値引き前の価格で年15600円です。

Wix Price

それでも、WordPressユーザーには高いという人がかなりいます。そしてWordPressは無料で安いと言います。でも、WordPress を使えるようになるまでにいくら時間がかかるかの計算をしていないからそういうことがいえるのです。

石垣島ITブートキャンプが1ヶ月間でWordPressの作り方を習得するようです。それでも素人が1人で WordPress で WEB製作をできるようになるのはなかなか難しいようです。その期間の人件費と授業料を考えれば50万円~100万円ぐらいのコストにはなると思います。

また、Web制作を委託にだしてWordPressで作成してもらった場合も同じぐらいの費用が必要になります。それに、WordPressの場合、自社で運用するのが難しくて、年10万以上の運営管理費を制作会社に払っているところは多いと思います。

学習コストを考えると、年1万や2万というのは安いものです。

Weeblyは、本当に日本語フォントがない?

Google で Weebly と検索すると日本語でトップに出てくるサイトでは、以下のように書いてあります。

簡単なレストランのサイトを作ろうとしました。
作ろうとしましたが、断念しました。決定的な理由は簡単に言うと以下です。

  • 日本語フォントがない
  • モバイル版がいまいち

そのほかは、なかなか素敵です。

これでは、Weebly があまりにも可哀想です。

Weeblyでは、コントロールパネルの「フォントの変更」には確かに日本語フォントはありませんが、CSSを直接編集することにより、日本語フォントもちゃんと使えます。

「デザイン」のパネルを表示すると、「フォントの変更」の下には「HTML/CSSの編集」というボタンが一番下にあって、HTML/CSSを編集できることはすぐわかります。

Wix Price

それをクリックすると、下の図のようにHTMLやCSSの編集画面が表示されます。自分の使ってみたテーマでは、main_style.css がメインのスタイルシートになっていて、そこで、font-familyに日本語フォントを追加していってやるだけです。

Wix Price

それから、モバイル版もいまいちということはありません。レスポンシブルのテーマを使えば、モバイル版はきちんと表示されます。試しにWeeblyでページを作ってみましたが、それほど問題なく表示されています。

ブログの筆者は、わざわざレスポンシブルでないテーマを使っていますが、その場合は、PC版とモバイル版のヘッダー画像が別のものになるというのが仕様のようです。その場合でも、同じヘッダー画像にしようと思えば、PC版もモバイル版もヘッダーなしを選択して、自分でヘッダーを作れば大丈夫です。

ブログの筆者が言うようにWeeblyは「なかなか素敵」です。

 

ASP.NET 5 Beta 7 を Ubuntu Server で使ってみた

2015年9月12日

ASP.NET 5 Beta 7 が公開されましたが、公式ブログで Mono なしで動作するということだったので Ubuntu Server に実際にインストールしてみました。

Ubuntu Server につては、Microsoft Azure でイメージは Ubuntu Server 14.04 LTS を使用しています。

インストールについては、ASP.NET 5 の公式マニュアルの Installing ASP.NET 5 On Linux のページを見てしました。最初は、注意を読んでなくて dnvm をインストールすると、下の図のように「dnvm needs unzip to proceed.」というメッセージが出ました。マニュアルをちゃんと見ると note に dnvm のインストールには unzip が必要と言うことが書いてありました。

ubuntu01.png

DNX とlibuv については、マニュアルどおりにインストールしました。

実際の動作のテストは、VS 2015 で作成した ASP.NET 5 プレビューテンプレートの Web Application を使ったものを使用しました。修正点は、Kestrel サーバーが動作するように project.json に以下の項目を追加しました。

"dependencies" に追加
"Microsoft.AspNet.Server.Kestrel": "1.0.0-beta7"

"commands" に追加
"kestrel": "Microsoft.AspNet.Hosting --server Microsoft.AspNet.Server.Kestrel --server.urls http://localhost:8000"

それで、「dnu restore」で依存パッケージを取得して、「dnx kestrel」で kestrel を起動するととアプリが動作しました。意外にあっけなく動作させることができました。

ubuntu02.png

Qiitaの「ASP.NET5 クロスプラットフォームでアプリケーションの動作環境を構築する」という記事では、「Ubuntuは、手順にある通りではうまくいきません。」と書かれていますが、それから比べると ASP.NET 5 の Linux 対応もかなり進んだと思います。

kestrel のポート番号を80に設定して起動するとチェックでエラーになります。本番環境での運用は、Nginx をリバースプロキシサーバーして使うようになるケースが多いような気もします。

コンソールアプリケーションの方もテストしてみました。ローカルディスクへの保存の処理を書いてみたのですが、このあたりは、DNX 4.5.1 と DNX Core 5.0 でライブラリーに変更があるのでコードの修正が必要になってきます。こういうケースでは、"frameworks"の設定は、VS だとどちらかでエラーがあるとコンパイルしないしエラーの表示もよく分からないものが表示されるので、使わない方の"framework"を削除しておいた方がいいようです。この関係を調べていて、.Net Core のドキュメントのページができているのに気がつきました。ただし、まだほとんどのページが作成中で使える状態にはなっていません。

以上テストをしてきて、ASP.NET 5 が Linux で実用的に使えるようになる日がかなり近づいていると感じました。

 

5374 徳島市版を作ってわかった地域アプリの厳しさ

2015年9月1日

今日から9月です。約3ヶ月このWebサイトを更新するのに時間がかかっていたのでブログの更新ができていませんでした。最初に 5374 徳島市版のアクセス状況を書いてみます。

8月分のページビュー数は、73PVでした。うち5374 の本来の使い方である Direct が約半数の36PVで1日で1PVという感じで、アクセスは本当に少ない状況です。

自分でも5374徳島市版は使っていません。「ごみの日」を知る必要があるのは後片付けの時なので、手がぬれている場合が多いのでスマートフォンは使う気がしません。台所にごみカレンダーを貼っておいた方が便利だと思います。

金沢の成功事例である5374の本家版の利用者は、月間で4000人だそうです(出典:TheWave の 「強い想いが仲間と流れをよびよせた/Code for Kanazawa(前編)【鈴木まなみ】」)。

ecitizen.jp 全体だと8月のユーザー数は31000人なので、5374の本家版よりも8倍も多くなっています。

それで、ecitizen.jp の方が 5374の本家版より優れているというつもりはありません、5374の本家版は金沢市が対象なので46万人が対象になりますが、ecitizen.jp だと全国の市町村の人口のグラフを作っているので日本全国が対象になるので、対象人口が大きく違います。

Code for Kanazawa のように地域で活動するのも一つの方法ですが、それでうまくいかない場合に、あきらめずにもう少しグローバルに考えるという方法もあると言いたかったのです。

ドメイン名を変更して、「マンガでなれる?WEBデザイナー講座」を始めました

2015年6月22日

ドメイン名を awoni.net から creativeweb.jp に変更しました。変更した大きな理由はなく、今後も web 関係のことを書いていくのだったら web が入っているドメイン名にした方がわかりやすいのではないかと思っただけです。最近は、このサイトの更新があまりできていないので、これを機会にもう少し更新の頻度をあげていきたいと思っています。

また、「マンガでなれる?WEBデザイナー講座」を始めました。最近、PCの他にスマートフォン、タブレット等色々なデバイスが増えて、Web デザインの方法が大きく変わってきたので、自分でも勉強しようと思っていたところ、フリーWEBデザイナーのミカ(栗本美香)さんが、マンガが得意なのを思い出して依頼したものです。

自分は、作りたいものがあるから Webアプリを作るというタイプで、基本的に一人で Web アプリを作っています。一人で全部していると、きれいなプログラムを書くことも優れたデザインのサイトを作ることも無理ですが、少しでもいいものは作りたいと思っています。

一人で作ることのメリットは効率がいいことで、今回のマンガも2週間ほどで公開できました。やり残してることも多いのですが、運用しながら修正していけるというのも Web のいいところだと思っています。

マンガでなれる?WEBデザイナー講座の図

 

自作のAPIをオープンデータで公開しました

2015年5月27日

Xingle 氏が、ブログ「オープンデータ先進県「福井」の残念なデータに思う」で、次のようなことを書いていました。

2 年前このデータを見たとき、ついカッとなって上記のデータを良い感じの形式に変換する API を作ったりしました。が、公開を目前にして「どう考えても元々のデータを直すべきで、万が一にも自分の API を使ってアプリを作るような人が出ても困る」と我に返り、踏み留まりました。

「万が一にも自分の API を使ってアプリを作るような人が出ても困る」ということですが、なぜ困るのか疑問に感じていました。そもそもアプリを作る人がいないのであれば、県や市町村としてオープンデータとして公開するのは無駄な作業になるし、まして手間をかけて「元々のデータを直す」ことは税金の無駄遣いだと思います。

最近公開された徳島県のオープンデータポータルサイト(Our Open Data)では、個人でもデータカタログに登録できるようになっています。そこで、APIを作ってデータカタログに登録して公開することにしてみました。公開しているAPIは、徳島県県土防災情報システムの道路気象、雨量、水位のデータを加工したもので、以下の2種類の API です。

徳島の気温、雨量、水位 GeoJSON

徳島の気温、風速、風向、雨量の10分データ

下の図がそのAPIを使って作成したサンプルです。

image

このAPIの作成に要した日数は6日間です。時系列データを作ったり時間雨量の計算をしたりする方に時間がかかっているので、APIの作成だけであれば3日でできると思います。今後、このAPIを使ったアプリを作ろうと思っているのですが、アプリの作成には10日以上かかると思います。それで今すぐに作るのは、かなり負担になるので将来 d3.js でグラフを描く機会に作成しようと思っています。

今回のAPIの作成の開発費がどうなるかというと、人件費を考慮すると日当5万円で30万円です。でも、自分でやっているので、自分の人件費を除いて計算すると電気代とパソコンの消耗費ぐらいでほぼゼロに近いと思います。

今後の運営経費に関して計算してみると、今回の公開には Amazon の S3 を使っています。単価は、1000回のGETのリクエスト使用料が$0.0037、ネットワークの下り側の使用料金が1GBで$0.14となっています。APIのファイルサイズで一番大きいのは雨量データで32KBです。1000PV当たりで計算すると、リクエスト使用料が$0.0037、ネットワークの使用量が32MBなので料金が$0.0045になります、合計で$0.0082で1ドルを120円とすれば約1円です。S3ではなく普通のサーバーを使っても同じようなものだと思います。公開以外に、データの処理コストが必要になります。今回のAPIの処理は10分毎の処理で処理時間は2.5秒なので、サーバーに少し負荷がかかるので無料ということはないですが月何百円の単位だと思います。こうして計算してみると運営経費は本当に僅かな額です。

次に収益の方ですが、現状では収益は見込めないです。もし、Webアプリを作った場合どうなるかというと、広告収入は可能だと思います。イケダハヤト氏がブログで収入を公開していますが、今年の4月分だと129万PVで、バナー、記事広告アフィリエイトで59万円なので、1000PV当たり457円ということになります。自分のWebサイトの場合は Google アドセンスしか貼っていないのでそれよりは低いですがそれでも半分以上の単価になっています。地域限定で日常的に使うアプリの場合、スポンサーは結構取りやすいと思うので457円の単価は難しくないと思います。

しかし、地域対象のアプリで問題なのはアクセス数を稼ぐのが非常に難しいということです。徳島県の場合人口が76万人しかいないので100万PVというのは夢のまた夢です。それに、アプリを作るのに10日とか書ましたが一人で作ってかつ業務の内容も分かっているからできる話であって、普通に開発会社が開発するのであればフロントエンドのエンジニア、サーバー側エンジニア、Webデザイナー等3~4人でチームを組んで、ヒアリング等も必要になってくると思います。そうなれば数百万円のコストが必要になってくるので、自治体から委託料をもらわずに自社開発するのは無理だと思います。

それだったらなぜ「オープンデータ」という話になるかというと、stackoverflowの調査だと、開発者の70%が週に2時間以上趣味やオープンソースの開発でプログラミングをしており、週10時間以上している人も20%います。そういう開発者の力を活用しようというのがオープンデータです。確かに、今回のAPIの作成はテストにも使っているので、自分としてもさほど負担には感じていないです。また、オープンデータはアプリのプロトタイプをテストするのには便利だと思っています。

海外ではソフトウェア開発者は比較的給料もよくて恵まれている職種なのでOSSの開発をする余裕がある人が多いと思います。日本では、そういう開発者の層は薄いので、オープンデータの活用が本当に進むかどうか不透明な部分がありますが、日本でもOSSの開発経験がエンジニアの採用時に実績として重視されたり、GitHub がポートフォリオになるような時代になっていくと思うので、将来的には海外と同じようになると思います。

また、日本ではXingle氏のように行政がきちんとしたデータを提供すべきだと考える人が多いと思います。確かに、XMLやRDF等で提供されていれば形式を勝手に変更されることがないだろうという安心感があります。一方Excelで作ったデータであれば、自治体の職員がすぐに様式を変更できるので、その対応を考えておかないといけないのが結構煩わしいと思います。

でも逆にいえば、XMLやRDFの場合、修正の必要が生じたときに自治体としてすぐに対応できるのかということがあります。また、経費や手間をかけてXMLやRDFで提供している場合、利用者が少ない場合でも提供を継続してくれるのかという不安もあります。現実に日本のオープンデータで最も規模の大きいものの一つである「政府統計のAPI機能」で、総務省以外の省庁の統計データは更新がほとんどされていません。恐らく各省庁は別のシステムで統計を作っていて、政府統計のシステムにデータを手入力するのはあまりにも手間がかかるし、一方でシステム化をするにはコストが必要ですがそのコストの説明ができないため、従来通りExcel形式での公開ということになっているのではないかと思います。

そういうことを考えれば、自治体ではできるだけ手間をかけずに内部で使っているデータをそのまま公開した方がいいと思います。そして、エンジニアの方が便利なAPIを作ったら、「万が一にも」とか言わずにどんどん公開したらいいと思います。公開するための経費はほとんど必要ないし、オープンデータを使ってアプリを作るということは自己責任で作るということなので、APIの提供者は運用についてあまり気にする必要はないと思います。それに、個人が開発したAPIを使うことに対するアプリ開発者側の不安は、APIの作成ルーチンをOSSで公開することではかなり緩和されると思います。そういうことで今回のAPIを作成するプログラムは、GitHubで公開しています。長くなったのでAPIの作成の話は次回にします。