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ソフトウェア・ディベロッパーはアメリカではベスト10に入る人気職種なのに、日本では「なくなる仕事」といわれる

2013年7月25日

CNNMoneyBEST JOBS IN AMERICA を見ていると、ソフトウェア・ディベロッパーが 9位に入っていることに気がついた。日本では、プログラマーやSEといえば、給料は安く、残業や休日出勤が当たり前の体力勝負の3K職場なので IT土方といわれているが、アメリカでは人気職種なのである。

最近の現代ビジネスの2020年「なくなる仕事」という記事では、プログラマーは「なくなる仕事」の3番目にあげられていて、次のように書かれている。

欧米では海外へのアウトソーシングが進んでいる。「システム開発の仕組みさえ構築されていれば、個々のプログラマーが日本にいる必要もなくなってくる」、「プログラミングそのものが機械化される」可能性も

こんなことを書く人たちが、生き残る会社はトヨタ自動車だといっている。トヨタ自動車が生き残るのであれば、実はプログラマーだって生き残れる。車はどんどん「プログラムの塊」になってきているからだ。自動車1台に搭載する電子制御ユニットの数が、100個以上にのぼる車両もあるそうだ。

欧米では海外へのアウトソーシングが進んでいるというが、アメリカで IT技術者がどうなっているかを、アメリカ労働局が作成している O*NET OnLine で調べてみた。要約すると以下のようになっている (http://www.onetonline.org/find/family?f=15&g=Go)。

  • 15-1121.00 - Computer Systems Analysts (544,000人、$79,680、20% to 28%)
  • 15-1122.00 - Information Security Analysts (302,000人、$86,170、20% to 28%)
  • 15-1131.00 - Computer Programmers (363,000人、$74,280、10% to 19%)
  • 15-1132.00 - Software Developers, Applications (521,000人、$90,060、20% to 28%)
  • 15-1133.00 - Software Developers, Systems Software (392,000人、$99,000、29% or higher)
  • 15-1134.00 - Web Developers (302,000人、$62,500、20% to 28%)
  • 15-1141.00 - Database Administrators (111,000人、$77,080、29% or higher)
  • 15-1142.00 - Network and Computer Systems Administrators (347,000人、$72,560、20% to 28%)
  • 15-1143.00 - Computer Network Architects (302,000人、$91,000、20% to 28%)
  • 15-1151.00 - Computer User Support Specialists (607,000、$46,420、10% to 19%)
  • 15-1199.00 - Computer Occupations, All Othe (210,000人、$81,140、3% to 9%)

括弧内の数字は、従業者数、年収、2010年から2020年への伸び率である。

このデータをみればわかるようにアメリカでは、コンピュータ・プログラマーでさえも、2010年から2020年に全職種の平均的な伸び率である10%から19%の伸びが期待されている。決してなくなる仕事ではないのである。

ソフトウェア・ディベロッパーは、プログラミングを中心に設計等ソフトウェア開発全般を行う職種であるが、年収は9万ドルを超えていて、人気職種であることがよくわかる。こちらの方は、今後就業者が高率で増加する職種となっている。

結局、アウトソーシングが進んでも、すべてをアウトソーシングできるわけではないのである。ましてプログラミングというのは技術の中核的な存在になってきているからプログラマーという職種は消えることはありえない。

それでは現代ビジネスの記事が全くの嘘かというと、日本がこれまで大量に育ててきたプログラマーの一部(一部といっても結構大量かも)が不要になってきているというのは事実である。そういう一部のプラグラマーのことで、すべてのプログラマーが不要だと読めるような記事にするのはどうかなと思う。

HTMLのテーブルに機能を追加する JavaScript Grid ライブラリーを調べてみた

2013年7月21日

Webサービスを開発していると、アプリケーションの中にはテーブルを多用する場合があります。現在作成中の「統計データ API エクスプローラ」は、その典型的な例です。それで、大量のデータを Excel のように便利に表示してくれる JavaScript ライブラリーを探してみました。

DataTables

この分野のライブラリーで、最も有名で、最も活発に活動しているのが、DataTables です。jQuery のプラグインで、HTML のテーブルにソート、スクロール、ヘッダー、フッター、編集等の機能を簡単に追加できるので便利なソフトです。使い易く機能が豊富なので、一般的な使い方では最もおすすめのライブラリーです。欠点といえばデータ量が多くなると重いことです。

jqGrid

DataTables についで有名なのが、jqGrid です。こちらも、jQueryのプラグインです。jqGrid は、DataTables ほどは親切ではありませんが、機能は豊富です。現在では、HTML Table も利用できるようになったり、サンプルも詳しくなっていますが、DataTables の方が使い易いのでどちらかというと開発者向けのライブラリーです。

SlickGrid

今回採用しようと思っているのは SlickGrid というライブラリです。機能は少ないし、データも JSON にする必要があるので、プログラマー向けのライブラリーです。しかし、大量のデータを処理できるライブラリーで、100万行のデータにも対応でき、APIも使えるということなので、今回のケースには最適だと思いました。現在テスト中ですがある程度使える目処がたちました。ライブラリーはいろいろありますが、有名なものを使うというだけでなく目的や用途に合わせて最適なものを選択することも必要だと思います。

少し話はそれますが、SlickGrid の作者である Michael Leibman 氏は、現在は Google 社のシニア・ソフトウェア・エンジニアです。Linkedin で調べると、SlickGrid は、Google 社に入社する前から作っていたそうです。欧米系IT企業では、有名なフリーソフトの作者は入社試験で圧倒的に有利だそうです。エンジニアtypeの記事「Twitterで働く日本人「開発現場はリアルなタイムラインのよう」」でも、twitterの非公式ライブラリを作っていて Twitter社に採用されたという日本人エンジニアが紹介されています。少し前に紹介した NLog の作者である Jaroslaw Kowalski 氏はMicrosoftのエンジニアです。このように就職に有利になるということも、世界的にはOSSのソフトウェアが盛んに作られている理由の一つだと思います。一方で日本のIT企業ではそういう話は全く聞かず、過酷な労働環境で「IT土方」になってしまっているのは非常に残念です。

エンジニアも休みを取ろう - Winny開発者・金子勇さんが死去

2013年7月8日

P2Pファイル共有ソフトWinnyを開発したことで有名な金子勇さんが7月6日急性心筋梗塞で死去したという報道がされている。金子さんは1970年7月生まれで42歳だった。心筋梗塞はかなりの割合で予防できる病気であるだけに残念なことだ。

年齢と死因をみて、気になったのは過労のことである。40歳頃から体力が低下するので、無理な生活をしているとこういう病気になることがよくある。

金子さんが創立した株式会社SKEEDのWebページのリーダー紹介では、金子さんについて以下のような紹介があった。

趣味は暇プロ。何かアイデアを思いつくと、プログラムという形で表現し、検証してきた。小さいころからプログラミングを趣味とし、数々のプログラムを作成して現在に至る。日常ではトラックボールを愛用し、キーボードを抱えたまま就寝、起きてまたキーボードに向かう。そのため電動式の起き上がりベッドを常用しているが、これは東急ハンズで買ったものであり、よく噂されているような介護用ベッドではない。

この記述をみると、金子さんの場合は、自らの意思で長時間プログラミングをしていたようだ。自分の意思でということで一般的な過労死とは違いがあるものの、長時間労働はやはり健康によくないと思う。エンジニアも休みを取って遊びに行くべきだろう。

自分も少しは余裕を持つのがいいだろうということで、今回は花の写真を添付しておく。

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フリーになって3ヶ月が過ぎました

2013年7月1日

フリーになって3ヶ月が経過した。住民税の第1期分の納期が今日だったので初めて自分で住民税を払いにいった。退職直後の年の住民税はかなり高いが、現在の収入で貯金を崩さずに住民税が払えるようにはなっているので、最初のステップはクリアしたと思っている。

今月は、統計メモ帳の方に政府統計データーAPI エクスプローラ(α版)を公開できたし、Umbraco に関する記事「開発者のための、エッジなCMS「Umbraco」の魅力」を Build Insider の方に掲載することができた。当所予定していたほどは進んでいないが、方向性が少し明確になってきたというのは進歩だと思っている。

最近 Google 依存症がどんどん強くなっていることを感じている。サイトに来る人の大半は Google の検索を使っているし、収入も殆どすべてが、Googleアドセンスである。Google 依存への恐怖を強くいう人もいるが、自分の場合は現状はやむを得ないと思っている。会社依存よりは、時間を拘束されないことが大きなメリットだ。アドセンスを貼るだけで収入になるので、自分のやりたいことに時間を集中することができるし、それにエンジニアとしては Google から学べることは多いと思っている。

政府統計データ API で公開されている統計表のリストを作ってみた

2013年6月28日

総務省統計局と統計センターによって、次世代統計利用システム(API機能)の試行運用が6月10日から開始されました。自分も統計データAPIを使ってアプリケーションを作ろうと思っています。

ところで、統計APIの関係では「統計くん」というWebサービスがメディアに取り上げられています。例えばITmedia ニュースによると「個人開発者の矢野さとるさんは6月12日、10日に公開された「次世代統計利用システム」のAPIを活用し、国勢調査などの政府が持つ統計データをCSV形式でダウンロードできるWebサービス「統計くん」を公開した。」というような記事が掲載されています。

その「統計くん」を使ってみると、データの一覧には自分の欲しいデータがありませんでした。そのため今回のAPIの公開がかなり暫定的なものなのかと思ってしまいました。でも実際に調べていくと「統計くん」では統計APIで公開されている統計表のごく一部しか扱っていないことがわかりました。

自分で使うためにも、どういう統計データが公開されているかを知りたかったので、APIで公開されている統計表の一覧表を作成してみました。まだまだ未完成ですが、統計APIを使ってみようと思っている人には役に立つと思うので ecitizen.jp の方に「政府統計データAPI エクスプローラ」として公開してみました。