Webアプリを創る

フリーになって5ヶ月が過ぎました

2013年9月1日

現在作成中の統計メモ帳のアクセスの状況を紹介したいと思います。8月は下の図のようになっていて、ユーザー数4,227、訪問数4,953、ページビュー数12,591でした。7月がユーザー数 1,918、訪問数2,467、ページビュー数8,049だったので、7月と比べると訪問数では倍増していますが、ページビュー数では1.5倍程度の伸びになっています。サイトの制作の方が進んでいないため、もう一度見にいきたい思ってくれるコンテンツがないので、再訪問が少なくあまり数字は伸びていません。

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今後統計メモ帳をどうしていくかを考えるとデータビジュアライゼーションを強化する方向に持っていった方がいいと思っています。それで、地図の可視化ができる D3.js を試用中です。

統計メモ帳の作業はかなり遅れていますが、事業全体としては取りあえず生活ができる収入にはなりました。今後、awoni.net の方も GitHub 等のコラボレーションのツールについても紹介するようにしようと思っています。OSS、クラウドコンピューティング、GitHubやクラウドワークス等のクラウドアプリケーションを使えば Webサービスを効率的に作ることができるようになっています。プログラミングができる人間であれば、このチャンスを逃がす手はないと思います。

「長時間労働大国」と「テクノロジーが人間から仕事を奪う国」

2013年8月21日

日本は長時間労働大国で残業ありきの国だ。一方で、Gigazine の8月9日の記事「急速に進化し続けるテクノロジーは人間から仕事を奪ってしまうのか」では、マサチューセッツ工科大学スローンマネジメントスクールのErik Brynjolfsson教授および彼の共同執筆者であるAndrew McAfee氏の「How Technology is Destoroying Jobs」という記事を紹介しているが、日本の現状と対比してみると面白い。

近年全世界で問題になりつつある就業率低下の背景に、産業ロボット工学から自動翻訳サービスまで幅広い分野において進歩し続けるコンピューター技術があると主張しています。次々と新しくなるテクノロジーを受け入れる産業は、製造・小売り・事務業だけにとどまらず、金融・法律に関する業種や医療・教育などのサービスにおいても最新技術を積極的に採用しています。

アメリカでは、確かに2000年初頭から生産性は上昇し続けているものの、雇用の方は成長をやめて低下し始めているという状態になっている。ただし、テクノロジーの進化が雇用の低下の原因になっていることについては、否定的な意見も多いようで、機械によって労働者が仕事を失っているという証拠を見つけるのはとても困難だそうだ。

2012年にAmazonに買収されたスタートアップ企業のKiva Systems はロボットの開発をする会社で、そのロボットを使えば通常の工場の4倍の量の注文を処理可能になるそうだ。そのKivaではロボットの販売好調に伴い、人員を増加させているが、そのほとんどがロボットのアルゴリズムを担当するソフトウェア・エンジニアだそうだ。

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このような結果、アメリカでは左の図のように2000年から2010年で最も大きく伸びた職業はソフトウェアエンジニアだった。そして、以前の記事で紹介したようにソフトウェアエンジニアは、2010年から2020年にかけても大きく成長する職業だといわれている。

一方、日本では、今でも プロジェクトマネージャー > システムエンジニア > プログラマー という身分制度があって、プログラミングは下賤な作業と思われている。そういうことで、設計もプログラムもするソフトウェアエンジニアという言葉自体が普及していない。そして、さらにはIT技術者は3Kの職業で将来絶滅するとまでいわれている。

結局、アメリカが、コンピュータ技術を取り入れることで生産性をあげたが、そういう欧米の企業に対して日本の企業では長時間労働をさせることによって競争力を維持しようとしているようだ。欧米では失業が問題になり、日本では長時間労働や過労死が問題になっているのは、そういう理由だろう。世界中どこでも労働者には厳しい時代だ。

ただし、特殊合計出生率が、アメリカ2.1、イギリス1.94に対して日本は1.39で、長期的にみると日本は子供を育てられなくなっている社会だからこのまままだと敗戦は確実だ。コンピュータ技術に対して長時間労働という禁じ手の武器で対抗しようとするのは、第2次世界大戦での戦いを思い出させる。

「SEにとって百年に一度のチャンスが来た」と「なれる ! SE」

2013年8月18日

SEにとって百年に一度のチャンスが来た」は、ITpro の6月21日の情報サービス産業協会(JISA)副会長横塚裕志氏へのインタービュー記事のタイトルだ。情報サービス産業協会(JISA)の副会長でSE一筋40年の人だけあって、SEに対する思い入れが強い。次のようにSEに檄を飛ばしている。

「日頃からシステムの開発に取り組んできたSEは論理的な思考力が鍛えられている。しかも、SEは研究、製造、営業、経理、人事といった様々な組織のシステムを開発し、運用してきたから、組織間の関連や全社の業務の流れを俯瞰できる」。

自分は、どちらかというとSE不要論の方なので、それとは全く正反対のこのを書いてあった記事なので頭の片隅に残っていた。

お盆休みに、「なれる ! SE」というライトノベルが結構人気になっているということで「なれる!SE (8) 案件防衛?ハンドブック」を読んでみた。作者の夏海公司氏は元SEということで、日本のIT業界の実情がかなりリアルに描かれている。今回読んだ巻のテーマは既存顧客案件の攻防というよくある案件でスリリングなこともあるので面白く読むことができた。

このライトノベルを読んでいて、頭をかすめたのが横塚氏の記事である。確かに日本のIT産業を牽引してきたのはSEだったということは間違いない。大手SIerを中心にITゼネコンと呼ばれる世界、すなわち、SEというプロジェクト管理能力、顧客折衝能力がある人間を中心にして、下請けのSEやPGを使ってシステムを作っていくという構造を作った功績は大きい。

一方世界では、こういう日本のIT企業とは全く別世界にあるIT企業も多い。例えば、37シグナルの創始者の2人が書いた「小さなチーム、大きな仕事 - 37シグナルズ成功の法則」では、小さなソフトウェア会社が成功するための一つの手法が書かれているが、全くビジネスモデルが違う。

僕たちはまだみずからに制約を課している。一度にサービスに携わる人間は、一人もしくは二人だけにしているのだ。そして、つねにサービスの機能は最小限にとどめている。このように自身に制約を課すことで、あいまいな形のサービスを生み出さないようにしているのだ。

あれがない、これがないと嘆く前に、今自分ができることは何なのかを考えてみよう。

こういうやり方ってシンプルだけど余分なものがないから非常に効率がいい。確かに大規模なシステム構築の案件ではSEは必要だと思う。でも、それ以外の場合に本当にSEという調整役の人間が必要なのかはもう少し考えた方がいいと思う。自分もWebサービスを作ったり運営したりしているけど、今はクラウドサービスや OSS のソフトウェアがあるから、一人で数百万ページビューぐらいのWebサービスを作成して運営するのは可能だと思っている。

日本は会社人間が多い国だと思っている人が多いが、実は下のグラフのように、もともとは自営業の多い国だったということだ。1980年代に日本が成功した裏には、多様な技術を持った自営業者がいたということを本当は忘れてはいけないことなのだ。

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平成23年度  年次経済財政報告

日本は、高度成長気に労働集約サービスを有効に活用して世界のナンバー2になった。その成功体験から、会社という組織で普通に優秀といわれている人を中心にして、コミュニケーション能力や協調性のある人間を多く集めて仕事をするのがベストだという意識が身についてしまったようだ。

でも、1人や2人でも Webサービスが作れる時代だし、他方では、中国やインドには日本のエンジニアの半分以下の給料で働くエンジニアがいるという時代だ。大きな組織をつくれば身軽さや柔軟さを失ってしまう。5人で2人分の仕事しかできなければ、会社としては長時間のサービス残業をさせるしか生き残る道はない。それが日本の多くのIT企業やWeb制作会社の実態だろう。高度成長期の成功体験を忘れて、どうしたらいいか自分の頭で考えてみることが必要なのではないかと思う。

日本からやっとシステム・エンジニア、プログラマーという職業がなくなった!

2013年8月3日

日本標準職業分類での話ですが、システム・エンジニア、プログラマーという職業がなくなっています。平成21年12月に改訂される以前の日本標準職業分類(平成12年12月改定)では、情報処理技術者は、061 システム・エンジニア、062 プログラマー の二つに分類されていました。その職業の説明は次のようになっていました。

システム・エンジニア

電子計算機による情報の整理・加工・蓄積・検索等に関する機械化された業務システムの分析・設計及びプログラムの設計についての技術的な仕事に従事するものをいう。

プログラマー

システム設計書に基づいて、各種プログラム及びコンピュータ処理に必要な操作手引書等を作成するものをいう。

この分類は、IBMが主導していたメインフレームの時代の産物です。日本では今でもシステム・エンジニア、プログラマーという職種に分けて仕事をいる会社も多いようですが、世界的にみれば一人で設計もプログラムもするのが常識です。

やっと平成21年12月に改訂されていて、情報処理・通信技術者は、以下のように分類されるようになっています(詳細は総務省政策統括官(統計基準担当)日本標準職業分類(平成21年12月統計基準設定))。

  • 101システムコンサルタント
  • 102 システム設計者
  • 103 情報処理プロジェクトマネージャ
  • 104 ソフトウェア作成者
  • 105 システム運用管理
  • 106 通信ネットワーク技術者
  • 109 その他の情報処理・通信技術者

そのうちシステム設計者とソフトウェア作成者について、説明と内容例示を抜粋すると以下のようになる。

システム設計者

顧客又は自己の問題の解決のため、ハードウェア、ソフトウェア双方を含め、主として必要なシステム全体の構成を企画する仕事に従事するものをいう。パッケージソフトウェアの開発企画、企業等でシステムの導入に関する企画や導入時の監督の仕事に従事するものも含まれる。ただし、個々のソフトウェアの開発の仕事に従事するものは小分類〔103〕に分類される。
○システムアーキテクト;システムアナリスト;情報処理アーキテクト;ISアーキテクト
×情報処理プロジェクトマネージャ〔103〕;プログラマー〔104〕

ソフトウェア作成者

ソフトウェア作成(基本ソフトウェア及びアプリケーションソフトウェア双方の開発を含む。)のための仕様決定、設計及びプログラミングの仕事に従事するものをいう。ただし、主としてシステム全体の構成を企画する仕事に従事するものは小分類〔102〕に分類される。
○テクニカルスペシャリスト;プログラマー;ゲームプログラマー;CGプログラマー;社内システムエンジニア;クリエータ(情報通信産業に関するもの)
×システムアーキテクト〔102〕;情報処理プロジェクトマネージャ〔103〕

かなり国際標準に近くなっています。システム・エンジニアに配慮してか、システムアナリストという職種が確立できていないためかはわかりませんが、本来はシステムアナリストとすべきところをシステム設計者としている点はありますが、以前と比較すればかなり進歩しています。

厚生労働省編の職業分類の方も平成23年に改正されています。総務省と微妙に違っていて、ソフトウェア作成者をソフトウェア開発者を呼んでいます。(詳細はハローワークの労働省編職業分類

職業分類は改正されたものの、ハローワークインターネットサービスの求人をみても、こちらの職種名だと依然としてシステムエンジニア、プログラマーという名前が使われているし、平成24年賃金構造基本統計調査の結果もシステムエンジニア、プログラマーの分類で公表されています。参考までに、平成24年賃金構造基本統計調査の結果をメモしておきます。

システムエンジニア 281,250人 年収5,376,200円

プログラマー 110,450人 年収4,192,600円

なぜ、日本の職業分類がこのように変更されたかというと、国際標準職業分類(ISCO 参考)が2008年に改訂されたためということのようです。参考までにISCO-08での情報処理・通信技術者の分類は以下にメモしておきます。

  • 25 Information and communications technology professionals(情報通信技術専門職)
  • 251 Software and applications developers and analysts(ソフトウェア・アプリケーション開発者、アナリスト)
  • 2511 Systems analysts(システムアナリスト)
  • 2512 Software developers(ソフトウェア開発者)
  • 2513 Web and multimedia developers(ウェブ・マルチメディア開発者)
  • 2514 Applications programmers(アプリケーションプログラマー)
  • 2519 Software and applications developers and analysts not elsewhere classified(他に分類されないソフトウェア・アプリケーション開発者、アナリスト)
  • 252 Database and network professionals(データベース・ネットワークの専門職)
  • 以下略

ISCO-08の前のバージョンである ISCO-88 では、2131 COMPUTER SYSTEMS DESIGNERS AND ANALYSTS2132 COMPUTER PROGRAMMERS に分類されていて基本的には日本のシステム・エンジニアとプログラマーの分類と同じです。確かに 1988年当時は、コンピュータのコストが無茶苦茶高い時代でした。設計やプログラミングをコンピューターにアシストさせるということができなかったので、プログラム部分に人を大量に動員する必要があったので、設計とプログラムを分けるのは合理的な方法だったように思います。

ISCO-08 と 日本標準職業分類との違いを見てみると、日本では情報処理プロジェクトマネージャが入っていることです。ISCO-08では管理的職業従事者の 1330Information and communications technology service managers が該当すると思われます。

フリーになって4ヶ月が過ぎました

2013年8月2日

前回のブログでは、ソフトウェア・ディベロッパーが人気職種だということをかきましたが、もう少し詳しく BEST JOBS IN AMERICA をみるとソフトウェア・ディベロッパーの場合ストレス度がBと比較的ストレスの少ない仕事ということになっています。日本では、プログラマーやシステムエンジニアは、ストレスが多い職種だといわれています。そのような差がどうして発生するかというと、日本ではプログラマーやシステムエンジニアが日本独自でガラパゴス化して単なるIT土方になってしまったことにあると思っています。自分はフリーになってプログラミングはクリエイティブな仕事だとますます思えるようになっています。

現在作成中の統計メモ帳のアクセスの状況を紹介したいと思います。7月は下の図のようになっていて、訪問数2,467、ユーザー数1,918、ページビュー数8,049でした。かなり少ないですが、6月が訪問数1,155、ユーザー数909、ページビュー数2,450だったので、6月と比べると倍増しています。

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ブロガーで有名なちきりんさんがブログ開設以来のアクセス数を「2013-04-30 「Chikirinの日記」 月間 200万PV 時代へ!」で公開していますが、2005年の3月に始めて3年間はゼロに近い状態だったということがわかります。この Webサイトも2008年12月に始めて月間1万ページビューになったのが2010年の4月なので1年半かかりました。個人でWebサービスを作る場合には案外一番難しいのは最初に1万ページビューぐらいのアクセスを集めることではないかなと思います。

こういう点から考えると統計メモ帳は結構順調に進んでいると思っています。でも、問題なのは一度来た人がもう一度アクセスしたいというようなコンテンツがまだできていないということです。結局ソフトウェア・ディベロッパー(日本だとプログラマーというのが普通だろうけどしている仕事のイメージが違うよね)は魅力のあるソフトウェアを作るというクリエイティブな仕事で、それができるかどうかでWebサービスが成功するかどうかが決まるということだと思っています。