注意!Amazon EC2 の価格が2014年4月1日から引き下げられる予定です。その時点での価格比較を「Amazon EC2 が値下げされるので、Azure と比較してみた」に書いています。
Microsoft が運営するクラウドサービスWindows Azure で日本リージョンが開設されました。それも、東京と大阪の2箇所にデーターセンターが開設されたので災害時の対策も容易に出来ます。そこで、まず Azure VM と Amazon EC2 の価格を比較をしてみました。Azure は、東日本リージョンで計算しています。西日本リージョンだと約10%安くなります。Amazon は東京リージョンです。
サーバー種別 |
Windows Server
|
Linux
|
短期・長期 |
短期(円/時間)
|
長期(円/月)
|
短期(円/時間)
|
長期(円/月)
|
Azure VM XS
|
\2.71
|
\2,012
|
\2.76
|
\2,049
|
EC2 t1.Micro |
($0.0305)\3.20
|
\2,525
|
($0.027)\2.84
|
\1,271
|
Azure VM S |
\10.82
|
\8,044
|
\8.27
|
\6,147
|
EC2 m1.Small |
($0.1185)\12.44
|
\6,094
|
($0.088)\9.24
|
\3,650
|
※1ドル=105円とした。EC2の長期は重度使用リザーブドインスタンスを利用の場合。
EC2のWindows は、EBSが30GB必要になるのでその料金も含めている。
この表をみると、Azureの価格体系の特徴としては、Windows Server の XS の価格が押さえられています。初心者が最初に使うサーバーの価格を抑えて Windows サーバーの利用者を増やしたいという Microsoft の意図がはっきり表れています。初心者にとってはサーバー経費が結構負担になるものなので、低価格のレンタルサーバーでは満足できない場合の有力な選択肢です。
Azure VM の Sサイズでは、EC2 Small と比較して時間当たりでの単価は少し安くなっています。しかし、Azureの方は月額使用料が51,000円以上でないと長期や前払いの割引が受けられないため長期使用の場合はEC2 Smallよりも高くなります。ただし、Amazonの前の世代である m1タイプより Azure の方が性能的に相当高いので、Azure の方が勧められると思います。Gihyo.jpのクラウドサービスの比較をみると、同じSと言っても性能的に差が非常に大きいです。
次に、現行世代タイプである Azure VM の M タイプと Amazon の m3.medium とを比較してみます。
サーバー種別 |
Windows Server
|
Linux
|
短期・長期 |
短期(円/時間)
|
長期(円/月)
|
短期(円/時間)
|
長期(円/月)
|
Azure VM M
|
\21.63
|
\16,088
|
\16.53
|
\12,294
|
EC2 m3.medium |
($0.228)\23.94
|
\10,761
|
($0.171)\17.96
|
\6,787
|
※1ドル=105円とした。EC2の長期は重度使用リザーブドインスタンスを利用の場合。
EC2のWindows は、EBSに60GB分を含めている。
こちらでも、時間当たりでは、Azure の方が安いのですが、長期使用では EC2 がリザーブドインスタンスを利用できるのでかなり安くなります。そこで、どちらを選択したらいいのかを検討するためには性能も重要になるので、どの程度の性能なのかを調べてみました。現行世代のm3は、前世代のm1より CPU の性能が約1.5倍に上がっていますが、一方料金は少し安くなっています。
以下の図が CrystalMark での測定結果です。ALU 及び FPU については、Azure の方が約2倍速くなっています。Azure VM の M は、2 vCPU なので、CPU の性能だけでいうと、EC2のm3.medium は、1 vCPU である Azure VM の S とほぼ同等ということになります。Azure VM の S が月額約8000円なので、2700円でメモリーを 1.75GB から 3.75GBに増やせるということになります。こう考えると、Windows Server でも Azure が有利か EC2 が有利かは、ケースバイケースになるのではないかと思います。Linux の場合は、長期使用の場合の Azure VM の S の価格と EC2 の m3.medium の価格が 640円しか変わらなくなるので、短期間だけ利用する場合を除いては、EC2 が有利だと思います。
大企業に関していえば、Azureの方は月額使用料が51,000円以上になってくると、6月プランや12月プランの割引が使えるので、Azure の方が利用しやすいと思います。EC2 の重度利用は、価格的には安くなりますが、同一のインスタンスを使用しつづける必要があるので、弾力性の面で Azure の割引の方が優れていると思います。Microsoft によれば Fortune 500 の会社の50%が Azure を使っているということですが、トータルのコストパフォーマンスからみて当然の結果だと思います。
もう少し、Azure と EC2 の性能を詳しく比較するために、CrystalDiskMarkを使ってベンチマークをしてみました。以下の図がその結果で、上が Azure VM M、下が EC2 m3.medium の C ドライブです。
Azure のディスクの Seq 及び 512K の読み込み性能はすばらしいです。Azure の Blobストレージは、広くいわれているとおり非常に優秀です。だから、仮想マシンの起動に関しても Azure は非常に早いです。
一方、Amazon の EC2 は、これに対抗して、現行世代の m3 では、SSD のインスタンスストレージを提供しています。m3.medium では、わずかに 4GBしかないのですが、下の図のようにディスク性能が飛躍的に上がっています。この SSD を有効に使えば処理速度は格段に上がります。m3.xlarge だと、2 x 40GB が提供されるので、OS も SSD のディスクにインストールできるので処理速度が格段に上がると思います。
こうしてみると、クラウドコンピュータは、早い速度で進化しているのが分かります。
Azure の場合、日本リージョンだけが、他のリージョンより 東日本リージョンで 17.8%、西日本リージョンで 5.6% 高くなっています。データセンターを東日本と西日本の2カ所に設置したことで、国外にデータを出さず、国内だけでディザスタリカバリー体制を組めるようにしたり、「日本MSが米本社と連携し、国内企業が求めるクラウドの品質に応えられるようにする」という ITPro の記事から判断すると、日本の大企業の要望に沿ったサービスを提供するために高くなった思います。こう考えていくと、自分の場合は、Azure を使うのがいいのか AWS を使うのがいいのかはかなり微妙だと思っています。
Windows Azure 仮想マシン料金 http://www.windowsazure.com/ja-jp/pricing/details/virtual-machines/
Amazon EC2 料金表 http://aws.amazon.com/jp/ec2/pricing/